さなのばくたん。-メチャ・ハッピー・ショー-に行った。

名取さなは僕がVTuberにハマるきっかけになった女で、今でも一番好きなVTuberの1人なのだが、そんな彼女の誕生日イベントが3月7日に川崎のチネチッタで開催された。

 

チネチッタのあるラチッタデッラではイベントに併せて名取さなとのコラボ企画がいくつか実施されており、イベントついでにいくつか回ろうと思って早めに家を出たのだが、想像していたよりずっと多くのファンが会場にいたようで既に当日の整理券は枯れていたらしい。平日ということもあり開演時間は19時とやや遅めで、夕方ごろに到着した僕は予約していたCDを受け取ってからは開場まで近くのネットカフェでゆっくりしていた。

 

人が少なくなったろう頃に会場に向かい、やっぱり見通しが甘くてまだ大勢いたのだが、入場した。映画館での開催ということもあり、昨年に引き続き今年もロビーに様々な小ネタが展示されていて、一通り眺めた後自分のシアターに入った。座席が後方の端っこで発券した時には少し落ち込んだのだが、席についてみると案外悪くなかった。

 

開演前には映画さながらの諸注意を行う名取さな達の映像が流れており、間に挟まれたスクショタイムには掛け声に合わせて場内からもシャッター音がちらほら聞こえてきた。スクリーンを撮っているわけだし、これも広い意味でスクショになるのだろうか。

 

開演して1曲目は青空のラプソディ。え、もしかして新曲も佐藤純一が作ってたりする? 昨年第2期が放送された小林さんちのメイドラゴンの第1期OPで、キャストユニットによるカバーMVも記憶に新しい。聞くだけで気分が上がる曲であるが、MVで披露されているダンスもこの曲の魅力の1つだと思う。振りコピがしやすく、また動きが大きいので見ていても踊ってみても楽しい。名取さなも配信でダンスを頑張っているというようなことを言っていたが、1曲目から何度も見たあの振りを彼女が一生懸命に踊っていて思わず頬が緩んだ。メイドラゴンでは第2期OPの愛のシュプリームやEDのめいど・うぃず・どらごんず♥なんかも好きで、時期的にもこちらの方が近いのでどうして青空のラプソディなんだろうと思っていたら、後日配信で愛のシュプリームは男の声が必要だったと言っていて確かに……となった。

 

2曲目は僕が名取さなのオリジナル曲の中で一番好きな曲であるところのエッビーナースデイ。振りを付けてもらったと言っていたが、エッビーナースデイだったのかと心の中で小躍りした。なぜなら僕が一番好きな曲なので。僕が一番好きな曲を僕が一番好きな女が踊っていて嬉しい。サビのガニ股はおよそ女子の取っていいポーズではなかったと思うが、インターネット女の玩具感が感じられて大変良かった。抱いているいろりもはっきり見えたよ。エッビーナースデイの歌詞がインターネット上に上がったの初ってマジ? 1年のタイムラグが発生しててワロタ。

 

無料パートが終わってトークが始まるとステージ上の衣装が消えており、ショーが進行する。ここは東京ディズニーシーのマジックランプシアターっぽくてワクワクした。僕も常日頃からVTuberにはもっと気軽に着替えてほしいと思っていたのでさなちゃんねるキャラクターズの正論には激しく同意。昨年の衣装にも焦点を当てていたのは良かった。

 

ここからは各衣装の願いを叶えていく。最初は原点であるナース服。事前に募集されていた旅行に関する大喜利大会が行われた。と言っても質問自体がいかにもな最終問以外では真面目な回答もいくつか見られた。大塚国際美術館はいつか行ってみたい。

 

ナース服は新曲のモンダイナイトリッパー!を披露した。作詞・作編曲はsasakure.UK。や、この曲好きだ……。名取さなはバーチャルサナトリウムの外の世界に強い憧れを持っているように思うが、そんな彼女が世界中を巡るというコンセプトで、歌詞に限界ともあるように爆速で駆けていく聞いていて気持ちのいい曲だった。というか、肉人間は海外旅行にはしばらく行けそうにないのだが、この女は気軽に世界を回っていてズルい。旅行と名取さなということでさなぬいのことを考えていたが、旅先で撮られてきた写真も遍在性を補強しているように感じた。歌詞は芸術的視点なら包帯もアートじゃんというところがお気に入り。ところで、曲中には中国・ロシア・インド・日本・フランス・アメリカといわゆる大国が現れるが、制作がsasakure.UKであることを踏まえると、この中に登場しないイギリスにも意味があるように思えた。

 

ナース服の願望が叶えられて、次に出てきたのは王の衣装。ステージ後ろのトルソーにナース服が戻ってるのが良かった。王はコーレスがやりたいということで付き合わされたのだが、だじゃれを言え~!だけには誰も応えていなかった。実はこれが披露する新曲のコーレスにもなっているという種明かしをされて、本番ではちゃんと応えようと決心したのだが、歌唱中にノリノリでレスポンスしているファンはあまりいなかった。

 

順番が前後したが王の衣装は新曲のだじゃれくりえぃしょんを披露した。作詞・作編曲は僕が名取さなのオリジナル曲の中で一番好きな曲であるところのエッビーナースデイと同じくやしきん。上からゴンドラが降りてきて笑った。そんなことできるんだ。楽曲は思ったよりだじゃれが多かった、というか9割だじゃれで構成されていて、これで成立することあるんだ……。Bメロの、言葉ははずんでのびてかけ回ってる/言葉はひねってばけてちょっとドヤってるは特に好きな歌詞。歌い終わりで落下したのは嘘でしょってなった。誕生日にステージから落とされる人は初めて見たので貴重な経験だった。

 

最後は制服で、ギャルゲーよろしく選択肢から会話を進行する形式だった。Z-aNのアンケート機能が用いられており、会場からも参加できる仕組みになっていた。宿題を写させない選択肢は? バッドコミュニケーションが発生した時に備えていろいろ用意していたらしいが、見事一発でメチャ・ハッピー・コミュニケーションに辿り着いたらしい。飲み物買ってこいが綺麗に割れていたので運が良かった/悪かった? リアクション芸で苦い飲み物を飲まされるVTuber、よく見るけどオタクくんってこういうのが見たいの? そっか……。

 

制服はアマカミサマを披露。上映前にもメイキングで流れていたが、映画館で聞くと音がいい。2番の友情 愛情 劣情?という歌詞がどうしても受け入れられなくて構えていたのだが、気づいたら意識が飛んでいて回避した。僕を許してほしい。

 

無事全ての願いを叶えたことでトルソーには衣装が揃い、新衣装の名取さなが再び登場。今更だが新衣装めちゃくちゃ良くないか? 新3Dで頭身が上がったこともあって、ショートパンツが映えていた。ミニハットや腰のうさちゃんせんせえも可愛くて好きだ。衣装を仕立てたのはさえきやひろで、いつもお世話になっております。少し脱線するが、星街すいせいの1stソロライブ衣装も同じくさえきやひろのデザインによるもので、ショートパンツコーデだったり腰布が印象的だったりで勝手に連想した。勝手ついでに言うとソックスや髪型、ヘアアクセサリーは鏡合わせに、また色についても赤と青で対照的になっているように感じた。二人に特別何かあるというわけではないだろうが、にじさんじに落ちた/ホロライブに加入したという境遇がifになっているようにも思えた。

 

本筋に戻って、名取さな(本物)は新曲メチャ・ハッピー・ショーを披露した。作詞は名取さな、作曲はハム・clocknote.、編曲はハム。消去法的にも作詞:名取さなが最後だとは分かっていたが、タイトル回収!? さなのおうた。のメロディが引用されていて、特に1サビ前の見ててねせんせえは強烈で、ここは会場でも涙ぐんでしまった。名取さなと僕の関係性はみてるよでもすきだよでもなくて、みててねなんだよな。さなのおうた。はもっちゃんの作詞による楽曲で、その一方すきだよ、せんせえ!のような直球な表現がされており、名取さなの心情と乖離がないかという疑念をどこかで感じていたのだが、メチャ・ハッピー・ショーにおいて名取さなの言葉でさなのおうた。を踏まえた表現がなされたことが何より嬉しかった。実はイベント中は音声トラブルやその他機材トラブルがしばしば発生していて、この曲を歌う直前で作編曲者の紹介をした際にも一度目は音が飛んでおり、そういう状況は彼女が望んでいたものとは悪い方向に違うものだったと推察するが、歌が始まってすぐに、ホントはちょっとこわいけどメチャ素敵にできたらいいなという歌詞が登場して流石に不憫でならなかった。誰に言っても仕方がないとは思うが、誕生日くらいは素敵に過ごさせてあげてほしい。トラブル時には名取さなのトークで繋いでいたのだが、機転が利いていて贔屓目抜きにしても面白かった。歌い終わりには銀テープが舞っていて綺麗だった。バースデイサナトリウムではバズーカを撃とうとしていたと言っていて笑っちゃったが、いつか僕の世界でも発射してほしい。ちなみに歌詞カードを見るとだじゃれくりえぃしょんやモンダイナイトリッパー!に比べると圧倒的に詞が少なく、初挑戦感がひしひしと感じられた。さなチャン、照れちゃったのカナ😅❓  脳内会議フル稼働24時という歌詞はメチャ好き。照れ隠しのなんてねは、また別のVTuberの話になって申し訳ないが、星街すいせいのStellar Stellarでも登場していて更なる見出しを止められない。

 

歌唱が終わって、アンコールの拍手が始まった。暫くして名取さなが再び登場したかと思いきや、またも音声トラブルで調整が入った。これまでと違いBGMも流れなかったため、会場は無音の中サイリウムを振る奇妙な光景が広がっていたが、これを機にということか写真を撮るファンがちらほら現れ始めた。上演前と同じくシャッター音が鳴る中、バーストで撮る音が響いてメチャ面白かった。僕は悔しくて何もできなかったのだが、こういうことができるようになりたい。

 

調整が終わると、寝転がってる名取さなが登場。おい。会場が一面赤色に染まった。出てきたのはナース服を纏った名取さなで、これはショーの流れを汲んでいて良かった。アンコールではモンダイナイトリッパー!のMV制作、だじゃれくりえぃしょんの配信、もごごの単行本化、出版記念イベントの開催が発表された。モンダイナイトリッパー!のMV早く見たいね……。出版記念はオンラインイベントとのことだったが、何をするのか楽しみ。もごごは書き下ろしもあるらしい。

 

PINK,ALL,PINK!はクリスマスに披露していたので、最後はさなのおうた。だった。ムラサキのモジャモジャで本当に嫌そうな声と仕草をしていてサーナくんに合掌。サビの指を指す振りが好きだからつられてやってしまった。後ろで今までの配信のサムネイルを流されてウルっと来た。や、改めてパッキングマスターのサムネイル良すぎか……。

 

上演が終わって、影ナレが入る。客のことをせんせえと呼んでいて、粋なアナウンスもあるもんだなあと思ったけどこれリゼ・ヘルエスタじゃん。VTuber絶対音感を発動してしまった。振り返り配信で、会場がすぐに青のサイリウムでいっぱいになって嬉しかったと早口で言っていてにやけてしまった。VTuberオタクのVTuberが好きなので。

 

今回のメチャ・ハッピー・ショーはタイトル通りショーとして見せることに重点が置かれていた。昨年に引き続きコロナ禍での開催ということで、誕生日を祝う声を上げることができない中でも面白いイベント形式になっていた。印象的だったのはメチャ・ハッピー・ショーのコーレスが拍手になっていたことで、サイリウムを振っているだけの無音に耐えられなかった僕にとっては客席にも音が戻ってきたように感じられた。制限下での模索という点では、ばくたんレストランやポップアップストアなどコラボ先が複数に分かれていたのも密集を防ごうという配慮だったのだろう。ローソンプリントも今年は選べるようになっていて優しい。昨年も十分面白かったが、そこに留まることなく変化し続ける姿勢は魅力的に感じた。

 

そういえばていねいなお誕生日会では終了時に流れた映像に対して名取辞めるのか?みたいな呟きを僕も見かけていて、冗談でも言わないでくれと思っていたのだが、今回終演前に昨年のそういう感想に反応して、辞めないんだが!ってはっきり言ってくれて本当に救われた。ありがとう。